The Gospel of the Blues
Sister Rosetta Tharpe / MCA 2003 (CD)
2020年春、緊急事態宣言でステイホームしていたときは、おとなしく家で跪いて祈るしかなく、そんなとき流れてくるのはゴスペルだった。暇に任せ、YouTubeでゴスペルを物色していたわけだが、歌える牧師やコーラスグループなど未知のアーティストを数件発掘した。なかでもゴスペルのスタンダード「Down by the Riverside」を弾き語るシスター・ロゼッタ・サープに出会ったときには、こんなミュージシャンがいたのかと驚いた。さらに掘っていくとゴスペルをベースにしながらブルース、R&B、ロックンロールまでやっていた。なるほどエレキギター奏者の先駆けで「ロックンロールの母」とまで言われたらしく、エルヴィス・プレスリーやチャック・ベリー、ボブ・ディランらも敬愛したらしい。YouTubeには1964年にマンチェスターの廃駅のプラットフォームで行われた映像があるが、このライブには当時イギリスのギター小僧だったエリック・クラプトンやジェフ・ベック、キース・リチャーズらも駆けつけたということだ。ギターもいいが歌もいい。大仰なマヘリア・ジャクソンを天童よしみとするなら、力強い自然体のロゼッタ・サープ姐さんは金子マリだ(個人の感想です)。YouTubeがある今、あえてアルバムを漁る必要もないが、もし買うとすれば「Down by the Riverside」「Strange Things Happening Everyday」「Rock Me」「My Man and I」など40年代Decca時代のヒット曲を集めた「The Gospel of the Blues」にする。DeccaもMCAもユニバーサル・グループに吸収されているから、このMCA盤はDecca録音のものと思われる。


